こんにちは、受付をしながら胡蝶蘭を育てている新宮凛です。
取引先の開業祝いに胡蝶蘭を贈るとき、いつ届けばいいのか、立て札に何と書けばいいのか、迷いますよね。
この記事では、実際に胡蝶蘭を受け取って並べる側の視点から、喜ばれる贈り方をお伝えします。
結論から言うと、開業前日の到着と、業種に合った立て札。
この2つで印象はほとんど決まります。
金額の大きさは、実はそのあとの話です。
目次
受付には、開業祝いの胡蝶蘭がこう届いています
贈る側からは見えにくいのですが、届いた胡蝶蘭にも「受け取られ方」があります。
まずはその実際からお話しさせてください。
到着は前日の夕方と当日の朝に集中する
うちの会社が新オフィスに移転したとき、私は丸一日、受付で胡蝶蘭を受け取り続けました。
前日の夕方に数鉢、そして当日の朝9時前後にどっと届く。
この2つの山があって、その間はわりと静かです。
当日の午後に届いた鉢もありましたが、そのころには来客対応が始まっていて、開梱も設置もどうしても後回しになってしまいました。
置ける場所は、思っているより少ない
大輪3本立ちの胡蝶蘭は、高さが80〜100cm、幅も60〜80cmほどあります。
床置きの観葉植物と同じくらいの存在感だと思ってください。
受付カウンターの周りにきれいに並べられるのは、私の経験では4〜5鉢が限界でした。
それ以上になると、通路にはみ出すか、応接室や会議室に移すことになります。
大きければ喜ばれるとは限らない、というのがここでの正直な感想です。
立て札は、思っている以上に読まれている
これはぜひ知っていただきたいのですが、立て札は来訪されたお客様がかなりの確率で読んでいます。
エレベーターを降りて受付に来るまでの数秒間、ほとんどの方が並んだ胡蝶蘭に目をやります。
そして「あ、○○さんも贈ってるんだ」と社名を確認していかれます。
つまり立て札は、贈り主の名刺のような役割を持っています。
贈るタイミングは「前日着」が基本
胡蝶蘭を贈るうえで、いちばん失敗しやすいのが日程です。
ここは事前のひと手間で確実に防げます。
いつ届けるのが正解か
複数の胡蝶蘭専門店が共通してすすめているのは、開業前日の到着です。
前日に届けば、開業当日の朝にスタッフが出社した時点で、すでに花が並んだ状態を作れます。
当日午前中の時間指定でも間に合いますが、当日は搬入や準備で慌ただしく、受け取りに人手を割きにくいという事情があります。
やむを得ず遅れる場合も、開業から1週間以内であれば失礼にはあたりません。
その場合は「遅ればせながら」と一言添えると、印象がずいぶん変わります。
事前に確認しておきたい3つのこと
贈る前に、先方へさらっと確認しておくと安心なポイントをまとめます。
- 受け取り可能な日時(前日に人がいるか、鍵は開いているか)
- 置けるスペースの広さと、すでに何鉢届く予定があるか
- 店舗の場合は、施工や什器の搬入が終わっているタイミング
内装工事の最中に大きな鉢が届いてしまうと、置き場所がなくて外に出されることもあります。
花にとっても、受け取る側にとってもつらい状況です。
開業日がずれたときの対応
開業日が延期になるのは、実はよくあることです。
すでに注文済みでも、多くの店は出荷前であれば配送日の変更を受け付けてくれます。
胡蝶蘭は温室で管理されているぶん、数日程度の調整なら花の状態にほとんど影響しません。
「祝いの品だから催促しづらい」と黙って送ってしまうより、一本連絡を入れたほうが確実です。
サイズ・色・本数は、受け取る側の事情で決まる
金額の相場は気になるところですが、実際に喜ばれるかどうかは置き場所との相性で決まります。
相場と本数の目安
胡蝶蘭専門店各社が公開している相場は、おおむね次のような幅に収まっています。
| 贈る相手 | 金額の目安 | サイズの目安 |
|---|---|---|
| 友人・知人の開業 | 1万〜2万円 | 3本立ち(中〜大輪) |
| 一般的な取引先 | 2万〜3万円 | 3本立ち 大輪 |
| 重要な取引先・親族 | 3万〜5万円 | 3本立ち大輪または5本立ち |
胡蝶蘭は「本立ち」と「輪数」で大きさが表されます。
本立ちは鉢に入っている花茎の数、輪数は開いている花とつぼみを合わせた数のことです。
同じ3本立ちでも33輪と42輪では見応えがかなり違い、価格差もそのまま出ます。
迷ったときは、少し上の価格帯を選んでおくほうが後悔は少ないです。
ただし10本立ちのような特大サイズは、他社の鉢と並んだときに一つだけ浮いてしまうことがあるので、相手の規模を考えて選んでください。
3本立ちが定番なのは、置きやすいから
白の大輪3本立ちが定番とされる理由は、見た目の格式だけではありません。
幅を取りすぎず、どんな内装にもなじみ、業種を選ばない。
受付に5鉢並んでも、白であれば統一感が出て見苦しくならないという実務的な利点があります。
飲食店でも美容室でもクリニックでも使えるという意味で、迷ったときの安全な選択です。
赤一色は避ける、紅白リップは歓迎される
開業祝いで赤色が避けられるのは、火事や赤字を連想させると言われているためです。
これは花の色だけでなく、ラッピングやリボンにも当てはまります。
ただし、白い花びらの中心(リップ)だけが赤い品種は別です。
紅白を思わせる縁起の良い配色として、開業祝いにはむしろ好まれます。
贈り先のコーポレートカラーが赤なら、赤リップの品種を選ぶという手もあります。
立て札とメッセージカードで差がつく
ここが、贈り主の丁寧さがいちばん表れる部分です。
そして間違いも起きやすい部分でもあります。
立て札の基本構成と、業種別の祝詞
立て札は「祝詞・贈り先・贈り主」の3つで構成されます。
このうち祝詞は、相手の業種によって書き分けが必要です。
- 飲食店や小売店 … 祝 御開店
- 事務所や士業 … 祝 御開業、祝 御開所
- 医療機関 … 祝 御開院
- 会社の設立そのもの … 祝 御創業、祝 御設立
クリニックの開業に「祝 御開店」と書かれた札が届いてしまうと、せっかくの気持ちが台無しになります。
発注時にいちばん確認すべきなのは、金額よりもこの一語です。
実際の書き方は、次のような形が基本です。
祝 御開業
株式会社〇〇 代表取締役 〇〇 〇〇 様
株式会社△△ 代表取締役 □□ □□
贈り先の名前を省いて、祝詞と自社名だけを書くパターンもあります。
どちらでも失礼にはなりませんが、贈り先の社名が入っているほうが札としては丁寧に見えます。
なお贈り主の連名は、3〜4名までにとどめるのが読みやすい範囲とされています。
メッセージカードを添えるとき
立て札とは別に、メッセージカードを添えると印象がぐっと柔らかくなります。
立て札が来訪者向けの「公の顔」だとすれば、カードは相手ご本人だけに届く言葉です。
祝福の言葉、そこまでの努力への敬意、これからへの願い。
この3つが入っていれば、短くても十分に伝わります。
お祝いの文章では句読点を使わないという慣習や、業種ごとの言い回しの違いなど、細かな作法もあります。
関係性別・業種別の文例は失敗しない開業祝いのメッセージ|関係性別の文例・業種別の書き分け方まとめにまとまっているので、書き出しに迷ったら参考にしてみてください。
会社の名義で贈るときに確認すること
社名で贈る場合、立て札の表記は名刺のとおりに書くのが基本です。
「株式会社」を「(株)」と省略すると、少しくだけた印象になります。
また、取引先へのお祝いの品は、法人の会計上は交際費として扱われます。
国税庁のNo.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算でも、事業に関係のある相手への贈答にかかる費用が交際費等に含まれると示されています。
経理処理まで含めて考えるなら、社内の申請ルールも先に確認しておくと安心です。
贈ったあとの一言が、いちばん記憶に残ります
胡蝶蘭は、届いて終わりの贈り物ではありません。
きれいな花は1か月ほど、株によっては3か月近く咲き続け、その間ずっと誰かの目に触れます。
管理のひとことを添えると喜ばれます
開業直後の方は、正直なところ花の世話まで気が回りません。
私も最初のころ、良かれと思って毎日水をあげて根を傷めたことがあります。
胡蝶蘭は乾かし気味が好きで、水は10日に1回ほどで足ります。
「水やりは10日に1回くらいで大丈夫です」という一文をカードの最後に添えるだけで、相手はずいぶん助かります。
実際、そう書いてくださった鉢がいちばん長く咲いていました。
花が終わったあとまで考える
花が落ちたあとの鉢をどうするかは、意外と相談されます。
処分してしまう会社も多いのですが、花茎を切り戻せば翌年また咲かせられます。
贈った相手が植物を育てるのが好きな方なら、その一言を添えるだけで鉢の寿命が何年も延びます。
贈り物が長く残るというのは、贈り主にとっても悪い話ではないはずです。
まとめ
開業祝いの胡蝶蘭で押さえるべきポイントを、最後に整理します。
- 到着は開業前日がベスト、当日なら午前指定、遅れても1週間以内
- 受け取り可能な日時と置き場所を事前に確認する
- 相場は取引先で2万〜3万円、白の大輪3本立ちが最も無難
- 赤一色は避け、赤リップの紅白配色は積極的に選んでよい
- 立て札の祝詞は業種で書き分ける(開店・開業・開院)
- メッセージカードには管理のひとことを添える
受付に立っていると、贈り主の人柄は花そのものより、札の一語や添えられた言葉のほうによく表れると感じます。
高価な鉢を選ぶことより、相手の当日の忙しさを想像すること。
それが伝わったとき、その胡蝶蘭は受付でいちばん長く大事にされます。
あなたのお祝いが、開業の朝いちばんの景色になりますように。
